東京
06年の平均改定率は6.0%。全国で唯一プラスに転じた05年の1.3%からさらに上昇し、全国でも群を抜いて高い水準を維持している。近年、空室率の低下傾向が続く東京のオフィス市場だが、06年末にはとうとう3%を下回る水準となり、需給バランスは明らかに逼迫状況といえる。そのため、都心部大型ビルを中心に新規募集賃料を押し上げる動きが加速し、継続賃料に対する上昇圧力も強まっていると考えられる。
興味深いのは、ビルオーナーのマインドを反映する景況感指数の動向である。「2003年問題」を目前に弱気一辺倒であった02年を境に、指数はプラス方向へと回復を見せる。それに連動するような形で、03年以降、平均改定率も年々上昇していった。ところが、06年は近年になく増額改定の傾向が強いにも関わらず、市況に対するビルオーナーのマインドには若干の陰りが見られる。ちなみに、06年の指数である36は、今後の市況について「良くなっていく」と回答したオーナーの割合(44%)から、「悪くなっていく」と回答した割合(8%)を差し引いた数値。「どちらともいえない」という回答が48%も占めているのは、好況を示す市況データやオーナー優勢の状況から考えると、予想に反して多いと見るべきであろう。その理由としては、現在の景況感を実感として捉えていないオーナーがまだまだ多いことや、空室率が低いとはいえ、07年の大型新規供給ラッシュを前に、そう楽観視もしていられないといったところであろうか。
賃料改定率分布では、オーナー優勢の状況がより如実に示されている。05年から始まった「増額改定>減額改定」の状況はさらに顕著になり、06年、増額改定を実施したビルの割合は65%近くに上る。一方で、減額改定を行った割合はわずか4%だ。ただし同調査は、任意のアンケート調査を基にしているため、市場の実情よりも強気なオーナーの声が表れやすいといった面がある。この数値は、そのあたりを加味した上で判断すべき必要があるだろう。グラフで示される状況はやや極端に過ぎるとはいえ、93年から12年間続いた減額改定傾向が05年以降大きく転換したことは確かなところ。少し前までの「増額改定などとんでもない」といった空気は、完全に払拭されたと見ていいだろう。 (凡例)